実家に五月人形がある。
俺が生まれたときに曾爺様が行きつけの骨董屋で買ってきた
ウン十万するシロモノだそうで、お公家の長男様が初代の持ち主なんだとか。
この人形様、ガキの頃から全くみえないひとだった俺や愚弟(5つ下)さえ
ウチでは俺と愚弟だけだったが)には人形様に重なって見えるだけで、
俺か愚弟が人形様を出し入れしないと幽体が機嫌悪そうになったり、
みたらし団子を献上すると嬉しそうにしてちょこっと我が家の運が良くなったり、
手入れ(専用の柔らかい刷毛みたいなモンで埃をとる程度)の時にちょっと乱暴にしてしまうと
刀の鍔をカチャカチャ鳴らす程度だったもんだから、そんな力の持ち主とは誰も思ってなかった。
況や泥ママをや、だ。
【うちにあるいわく付きの五月人形が盗まれた。】の続きを読む